06/04/2021
April 6, 2021.
【拡散・シェア希望】
当ラボが主催する新型コロナ研究コンソーシアム「The G2P-Japan」の研究成果をbioRxivに掲載しました。
<研究概要>
流行拡大する #新型コロナウイルス の #変異株 のひとつ #カリフォルニア株 が、日本人の免疫から逃避する可能性を明らかにしました。
ヒトの免疫、特に「獲得免疫」は、「液性免疫(中和抗体)」と「細胞性免疫」に大別されます。イギリス株やブラジル株などの新型コロナ変異株が、液性免疫(中和抗体)から逃避する可能性については世界中で研究が進んでいますが、細胞性免疫からの逃避の可能性については報告がありませんでした。
The G2P-Japanでは、まず、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の一部が、「HLA-A24」という、日本人に多く見られる型の細胞性免疫によってきわめて強く認識される(つまり、HLA-A24のエピトープになる)ことを、免疫学実験によって実証しました。
次に、75万以上の新型コロナ流行株の大規模配列解析の結果、昨年デンマークで流行したB.1.298系統と、現在カリフォルニアで流行拡大しているB.1.427/429系統(通称「カリフォルニア株」)のスパイクタンパク質のHLA-A24で認識される部位に、それぞれ変異があることを見出しました。前者はY453F、後者はL452Rというスパイクタンパク質のアミノ酸変異です。そして、免疫学実験により、これらの変異はいずれも、HLA-A24による細胞性免疫から逃避することを実証しました。これは、メジャーな新型コロナの変異株が、細胞性免疫から逃避することを実証した世界で初めての成果です。
本研究で見出したY453FとL452Rはどちらも、新型コロナのスパイクタンパク質の中でも、新型コロナウイルスの感染受容体ACE2に結合するモチーフの中の変異でした。そこで次に、これらの変異が、ウイルスの感染と複製効率に与える影響を、ウイルス学実験で検討しました。その結果、L452R変異は、ウイルスの感染力を増強させることを明らかにしました。
上述の通り、L452Rは、現在カリフォルニアを中心に全米で流行拡大するウイルスに特徴的な変異です。また、L452Rが逃避できる細胞性免疫を担うHLA-A24という遺伝型は、約60%の日本人が持っています。L452R変異は、日本人に多いHLA-A24による免疫から逃避するだけでなく、ウイルスの感染力を増強しうる変異であることから、この変異を持つカリフォルニア株(B.1.427/429系統)は、日本人あるいは日本社会にとって、他の変異株よりも危険な変異株である可能性が示唆されます。L452R変異を持つカリフォルニア株は、幸いなことに日本国内ではまだ見つかっていませんが、この変異株へのリスク対応のためにも、流行株のサーベイランスや空港での水際対策をより一層強化する必要性が考えられます。
Chihiro Motozono, Mako Toyoda, Jiri Zahradnik, Terumasa Ikeda, Akatsuki Saito, Toong Seng Tan, Isaac Ngare, Hesham Nasser, Izumi Kimura, Keiya Uriu, Yusuke Kosugi, Shiho Torii, Akiko Yonekawa, Nobuyuki Shimono, Yoji Nagasaki, Rumi Minami, Takashi Toya, Noritaka Sekiya, Takasuke Fukuhara, Yoshiharu Matsuura, Gideon Schreiber, The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) consortium, So Nakagawa*, Takamasa Ueno* & Kei Sato*.
An emerging SARS-CoV-2 mutant evading cellular immunity and increasing viral infectivity.
bioRxiv, 438288, 2021.
*Corresponding authors.
*詳しくは以下URLをご参照ください:
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.04.02.438288v1